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『パラサイト~半地下の家族~』

執筆者の写真: ひろれのんひろれのん

 2020年2月9日に府中でパラサイト~半地下の家族~観をました。ちょうどアカデミー賞授賞式で年間最優秀作品賞を受賞する直前です。たぶん受賞すると期待して観ましたが、やっぱり期待通り面白かったです。


 ぼくが、監督賞を受賞したポン・ジュノ監督作品を見たのは『殺人の追憶』(2003年)、『グエムル~漢江の怪物~』(2006年)、『スノーピアサー』(2013年)に続き4作目になります。

 まず、『殺人の追憶』は最高でした。必見です。連続殺人犯を追いつめながらも、追いつめきれない不条理さ、韓国警察の未成熟、社会の偏見と無関心といったテーマが詰め込まれていました。

 『グエムル~漢江の怪物~』は簡単にいうとモンスターパニックなのですが、主要なテーマは家族の結束です。それとともに、グエムルという怪獣が不条理を表していると思うのですが、政府や在韓米軍の存在も主人公となる家族には不条理的な存在として、家族にのしかかってきます。

 『スノーピアサー』は、まさに階級社会と革命を描いたような作品。保守の朴槿恵(パク・クネ)政権下の国家情報院は『スノーピアサー』について「市場経済を否定し、抵抗運動を煽る」と大統領府に報告していたそうです(Wikipediaより)。


 さて、『パラサイト』ですが、半地下住宅(北朝鮮との対立関係もあり、防空壕的な目的もあってつくられた住居)で生活する家族が、裕福な家族に寄生(パラサイト)していく物語です。物語は、前半と後半でがらりと変わります。前半は物語の展開を楽しみながらクスクス笑い、後半は物語の急な展開についていくのがやっとでゼエゼエという感じです。


 これ以上はネタバレしてしまうので言えないのですが、韓国社会だけではなく、世界的に問題となっている格差問題をシニカルに、そしてユーモラスに、さらにはシリアスに描いている秀作です。


 最後に、ほんの少しだけネタバレ的なコメントをすると、階級社会の中では「下にはその下がいる」ということを痛感しました。また、ハリウッド的なハッピーエンドで終わらない点も、この作品の特徴でしょうか。

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